ニッチ市場を狙うときに一度はやっておきたい「ファイブフォース分析」

2012年4月11日

わたしは、ライバルがいないという理由だけでニッチ市場に進出し、痛い目をみたことがあります。

ニッチ市場はライバル不在という理由だけで成り立つものではありません。

「お店が存続できる利益を確保できる規模か?」「ライバル以外に脅威となる要因は無いか?」「ライバルの参入しやすい市場か?」など、考えておけばよかったと思うことは山ほどありました。

今回は、ニッチ市場で生き残っていくための「ファイブフォース分析」について書いてみたいと思います。




ファイブフォース分析とは?

ファイブフォース分析とは、5つの競争要因から「業界分析」を行うフレームワークです。



ファイブフォースはマイケル・ポーターの著書「競争の戦略」によって提唱されたフレームワークで、以下のように定義されています。
業界の競争要因からうまく身を守り、自社に有利なようにその要因を動かせる位置を業界内に見つける

競争の戦略」では、「業界」や「産業」といったスケールの大きな分析を中心に書かれています。

そのため、トップ企業の戦略ツールとして使用されることが多く、中小企業や個人商店には不要のフレームワークとされていました。

しかし、スケールの大きな「産業」「業界」といった考え方ではなく、「特定の地域」「特殊なニーズ」といったニッチ市場に置き換えてみると、「自分のお店」の置かれている状況がよく見えてくるため、個人商店でもかなり使えるフレームワークになります。


ライバルの有無(ライバルとの敵対関係)

収益の小さいニッチ市場でライバルと競争になれば、お店を存続させる利益を上げるのはかなり難しくなります。
ニッチ市場はライバル不在が大きなメリットでもあり、大前提にもなります。

ライバルが存在する場合、以下の4つの視点で、ライバル不在のニッチ市場を創造してみます。
  1. 用途や目的、ニーズをさらに特化させたり、少しずらしたり、変えてみたりする。
  2. 世に出回っているニーズではなく、まだ日の目をみていない潜在的なニーズを考え直す。
  3. 世の中の「不便」や「面倒」からニーズを考える。
  4. 収益性が悪くお店を作れない市場に、他業種の収益法を取り入れる。

これらの発想の転換は、オズボーンのチェックリストを使えば簡単にできるようになります。


どうしてもライバルのいるニッチ市場へ新規参入したいときは、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
  1. 需要と供給のバランスが不安定な市場か?
  2. ライバルの攻撃が弱い、または遅い市場か?
  3. 他店に比べ参入コストが低い市場であるか?(既存店の資産を生かせる)
  4. 自分の力で構造を変えていける市場か?
  5. 既存の事業にプラスとなる市場か?


ライバルの出店(新規参入の脅威)

出店費用や技術コスト、法令などの敷居が低い市場は、次々にライバル店が出店してきます。
敷居が低い市場は、自分のお店が出しやすい分、ライバルのお店も出店しやすいため、レッドオーシャンになりやすい市場です。

市場参入への敷居は6つあると言われています。
  1. スケールメリットがものをいう市場
  2. モノやサービスが差別化された市場
  3. 大きな資金が必要な市場
  4. 高いスキルや特殊なスキルを必要とする市場
  5. 流通ルートの開拓が困難な市場
  6. 法令によって守られている市場


また、コトラーは市場を作るときの条件に以下の5つをあげています。
  1. ライバル店が参入できない障壁を築けること
  2. 自分の強みを活かる市場であること
  3. お店が成りたつ利益を確保できる規模のニーズがあること
  4. 成長を見込める潜在ニーズがあること
  5. 大きなお店が手を出せない、小さな市場であること

とくに大きなお店が進出してくると、ほんの1,2週間で収益の8~9割を持っていかれ、あっという間に潰されてしまうこともあります。

ただ、主流市場を戦場とするトップ企業は、以下3つの理由によりニッチ市場に参入できないと言われています。
  1. 低収益な市場は、株主や既存ユーザの不利益になる
  2. 新市場は収益が予想しにくい
  3. 新市場は評価の対象になりにくいため、かかわろうとする人材がいない
イノベーションのジレンマ」より


とは言っても、ブルーオーシャンはただの幻想で、よほど参入障壁の高い市場、または衰退している市場以外は、必ずライバルが参入してきて、戦場になってしまいます。

戦場になっても勝ち残れる独自の強みと、ニッチ市場をスケールアップしていける戦略、状況に応じて変化していける柔軟性をもっておくことは、主流市場だけではなくニッチ市場においても必要不可欠です。


他のモノやサービスの台頭(代替品の脅威)

ニッチ市場で優位性を築き、同業のライバルを駆逐しても、他の代替品(モノやサービス)が登場し、そこでニーズを満たせられれば、ユーザは流れて行ってしまいます。

これはニッチ市場を狙うときに、意外と見落としがちな観点です。

顧客はお店や商品では無く、ニーズを満たしてくれるモノを選んでいるという当たり前のことを忘れていると、この見落としにハマってしまいます。

この代替品は、イノベーションと呼ばれ既存の市場を大きく変えてしまう力をもつ、新しいモノやサービス、社会改革です。

イノベーションは5つのパターンに分類されます。
このパターンを知っておくことで、イノベーションの登場をいち早く察知し、対策をとれるようになります。
1.新しい材料・製法
   例)調光ガラス、EL素子

2.新しい製品
   例)スマートフォン、電気自動車、人工知能

3.新しい市場・ニーズ
   例)電子書籍、ネット生保

4.新しいシステム
   例)大学の秋入学、消費税の税率アップ

5.新しい社会
   例)貧困、エコ、電力不足


仕入先の横暴(供給業者の脅威)

「希少な原料」や「替えのきかない原料」などを使用してモノやサービスを作っている場合、仕入先の立場が強くなってしまうため、仕入コストは不安定になってしまいます。

個人商店の場合、ムチャな値上げや供給量を下げられたりして、お店の存続にかかわることはよくあります。
またコンビニやフランチャイズ店も、絶対的な権力を持っている本部の方針によって、利益は大きく左右されてしまいます。

仕入先の力が強くなる要因は5つに分類されます。
  1. 原材料が少数の会社に支配されている
  2. 原材料に希少性がある
  3. 仕入先が、自分のお店と同じ市場を狙っている
  4. 仕入先にとって、自分のお店が重要な顧客ではない
  5. 自分のお店で作っているモノやサービスが独特で、原材料を変えられない


仕入先を複数に分けたり、独自の仕入れルートを確保できれば、仕入のリスクを減らすことができます。


顧客の横暴(顧客の脅威)

少数の顧客に依存していたり、他のモノやサービスに乗りかえるコストが低い場合、顧客の立場は強くなってしまい、収益は不安定になります。

顧客の力が強くなる要因は7つに分類されます。
  1. 顧客が大量購入している
  2. 顧客にとって、替わりになるモノやサービスが他にある
  3. 顧客のメリットが少ない
  4. 顧客にとって、重要なモノやサービスではない
  5. 顧客が、自分のお店と同じ市場を狙っている
  6. 自分のお店の固定費が高く、顧客に買ってもらえないと致命的なダメージになる
  7. 自分のお店が下請け



ライバル不在のニッチ市場は、大型店に脅かされ続けている個人商店にとって、とても魅力的です。

そんな魅力的なニッチ市場を見つけたとしても早まらずに、まずは疑ってみるべきです。
「なぜ誰もやっていないのか?」

誰もいないのには、それなりに理由があるものです。
ファイブフォース分析をやってみれば、誰もいない理由が何となく分かってきます。

ニッチ市場の甘い罠にひっかからないために、お時間のあるときにでもお試しください。
5つの競争要因のいずれかを凌駕できる企業が、業界を制する。by マイケル・ポーター




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