なぜ隠すのか!?社員による失敗隠しのメカニズムと改善策
仕事でやってしまった失敗を隠したことありませんか?
多くの人が一度や二度は、失敗を隠した経験があるかと思います。
人は誰もが失敗をおかし、その失敗を隠そうとします。
失敗を隠されると「被害の拡大」「同じミスを繰り返す」「モラルの汚染」「失敗を恐れ精神的に追い詰められる」など、大きな弊害になっていきます。
今回は社員や部下、アルバイトによる失敗隠しのメカニズムと改善策を紹介したいと思います。
※記事内では、社員や部下を「アルバイト」、上司を「店長」に統一して書いています。
■失敗隠しのメカニズム。失う恐怖から失敗を隠す
人は、失うことを極端に恐れます。
失うことで受ける心理ダメージは、「利益」で得られる効用より、はるかに大きく感じるからです。
心理学では「損失回避」といわれています。
仕事上でも、失敗で失うモノは沢山あります。
「店長からの信頼や評価」「後輩からの敬意」「自尊心」「給料」「待遇」
失敗には、これまで積み上げてきたものを一瞬で奪ってしまう破壊力をもっています。
人生の多くの時間を投資してきた「仕事」。
大切にコツコツ育ててきたモノほど執着してしまい、合理的な判断ができなくなってしまいます。
■失敗隠しのメカニズム。自分なら「できる」と過大評価してしまう
人は、自分の能力を過大評価してしまう傾向があります。
この小さな失敗解決は、「失敗は自分で解決できる」という気持ちを少しずつ強化していきます。
こうなると、自分の解決能力を超えた大きな失敗をしたときであっても、自分だけで解決しようと一か八かの解決法を試して、自爆します。
また、自己流で仕事をする人も失敗隠しの常習犯です。
そういう人が失敗をしたとき、自分のやり方を非難されるのを恐れ、失敗を隠す傾向はとても高いです。
自尊心が傷つけられるのを極端に恐れ、なんとか逃れようとするからです。
■失敗隠しのメカニズム。目先の利益にめがくらむ
利益は今すぐに欲しくて、損失は後回しにしようとする習性が人にはあります。
失敗に限らず、目先の利益を追い求めるのは、良くも悪くも人間の本能かもしれません。
×失敗隠しのデメリット。人が成長しなくなる
失敗を隠す人は成長しません。
失敗すること自体を恐れ、自分のスキル以上のことをやらなくなるからです。
しかし、失敗とそのときの試行錯誤から生まれるストレスが、成長への意欲を作りだします。
ストレスの無い仕事は、成長しない仕事です。
×失敗隠しのデメリット。悪意は連鎖する
落書きや放置されたゴミ、割れた窓ガラスなどが、犯罪を起こしやすい環境を作り出すという話を聞いたことありませんか?
心理用語で「ブロークンウィンドウズ理論」と呼ばれ、犯罪が犯罪を誘発する原因とされています。
特にアルバイトぐるみで罪を共有している場合は、罪を犯すことが当たり前の風習が蔓延するため、被害の拡大が急速で深刻化します。
こうなるとお店の存続問題にまで発展するため、配置転換やクビ切りで人事を一新して、お店をたて直すなどの対応が必要になります。
×失敗隠しのデメリット。自己中心的な改善策をうちだす
人は、自分に都合のいい情報だけを集める習性があります(確証バイアス)
失敗しても、自己正当化できる情報だけを集めてしまいがちです。
とくに失敗を隠して見つかったときは、かたよった情報を自分を守るための言い訳として、使ってしまいます。
自己正当化せずに、失敗の正しい情報を集められる人は、意外と少ないです。
かたよった情報から改善策を考えても、正しい結論には至りません。
×失敗隠しのデメリット。従業員たちがお店を辞めていく
人は、失敗隠しが発覚することを恐れます。
だんだんと隠し通すのが苦痛となり、仕事を辞めることで解放されたいと考えるようになります。
問題が表面化する前に退職して、責任から逃れようとするのが人の心情です。
○失敗隠しの改善策
失敗隠しを無くす効果的な改善策は、失敗を報告できる環境を作ることです。
それには「行動療法」と「認知療法」の2つのアプローチを中心に考えます。
行動療法は、報酬や罰によって、失敗したときの反応を「正直に話す」ように改善します。
認知療法は、認知を変えることによって、失敗したときの反応を「正直に話す」ように改善します。
↓
うわ!店長に叱られるよ!(認知)
↓
壊れた商品は隠しておこう・・・(反応)
↓
ふー。バレなかったみたいだ。ラッキー助かった!(報酬・罰)
失敗隠しに「バレなくてラッキー」と報酬を与えてしまっては、失敗隠しの反応を強化してしまいます。
行動療法は、悪い行動には罰を与え、良い行動には報酬を与えます。
失敗して「店長に叱られる」と考えてしまうと、失敗を隠してしまいがちです。
認知療法は、失敗した時の認知を「店長に叱られる」から「店長に相談しよう」などに変えます。
○失敗隠しの改善策。失敗の理由を与える(認知)
人は、失敗の原因が自分にあると考えるのに抵抗をもちます。
自分の失敗を「他人」や「環境」のせいにすることで、自分に都合がいいように心の不協和を解消します。
と心の中では思っていても、他人に罪をかぶせる言い訳はなかなかできず、失敗を隠してします。
それならば最初から「新人だから」「初めてやる業務だから」「慣れた仕事ほど失敗する」などの理由を与えておきましょう。
失敗が自分以外の要因にあると思うことで、失敗を報告しやすくなります。
○失敗隠しの改善策。失敗は評価せず、貢献度で評価する(行動)
人は、他人の良い面より、悪い面ばかり目がいってしまいます。
悪い面ばかりを見て評価するのは、失敗を隠す大きな要因になります。
日本は失敗を許容しない風習が根強いですが、お店への貢献度で評価してみましょう。
人は誰でも失敗します。
つまり、失敗しないアルバイトは、失敗しないのではなく、失敗を隠すのが上手いアルバイトです。
失敗を隠すスキルを評価してはいけません。
○失敗隠しの改善策。失敗処理は店長の仕事(行動)
店長はアルバイトの失敗を処理するために存在する。
極論ですが、このくらいの気持ちを持っておき、アルバイト達に伝えておきます。
店長がお客に怒られる姿を見て、自分の失敗を後悔します。
また、店長が失敗を受け止めることで、安心して失敗できる雰囲気を作ることができます。
「君の失敗はぼくの責任だ。ぼくが全ての責任を取る。だから全てを伝えてほしい」と。
簡単ですよね。
たったこれだけで失敗隠しは無くなっていきます。
○失敗隠しの改善策。店長は敵ではない(認知)
アルバイトに失敗の言い訳ばかりされるのは、あなたが敵だと思われているからです。
失敗の原因、対処法、防止策を話し合うときに敵対していては、建設的な話ができません。
人は、正面にいる人間は敵、横にいる人間は仲間という潜在意識があります(スティンザー効果)
ちょっとしたテクニックですが、話し合いの雰囲気を変えられます。
人は、他人に命令されるより、自分で決めたことのほうがモチベーションを高く保てるものです。
失敗した本人に失敗の原因、対処法、防止策を語らせるように誘導してあげましょう。
結果ばかり評価すると、結果を求めるあまり、失敗を避けるようになります。
結果までのプロセスを評価すると、プロセスや考え方を重視し、失敗を恐れなくなります。
失敗が「悪」では無いことを正しく伝えましょう。
○失敗隠しの改善策。失敗を深刻な問題にしない(認知)
以前の失敗で傷を負ったアルバイトは、次にミスがあった時、無意識的に隠そうとしてしまいます。
「は!?」「またかよ!」と不機嫌さを出していては、次から報告してくれなくなります。
人は、失敗の原因を失敗者のスキルに問題があると考えてしまいがちですが、失敗してしまった状況や環境も考えてあげましょう。
それを伝えることで、失敗者の気持ちは楽になるはずです。
○失敗隠しの改善策。他人に失敗の尻拭いをさせない
他人に失敗の尻拭いをさせるのは、失敗をした本人にとって屈辱的なものです。
他人に尻拭いをさせてしまったという負い目も感じてしまいます。
なるべく失敗をした本人に解決させてあげましょう。
「あいつのせいで業務が大変になった」という空気ができてしまうため、失敗者の心理は圧迫されます。
失敗からある程度の時間を置いて改善策を提示するなど、「失敗と改善策は別もの」と思わせる工夫をしましょう。
○失敗隠しの改善策。僕たちは運命共同体
人は、自分と共通点のある人に親しみを感じます。
(背中をポンと叩いて)
頭ごなしに叱り命令するのではなく、「君と僕は、同じ立場なんだ」と自分の立場を相手のレベルにまで落とすことで、失敗者はあなたに共感し協力してくれます。
共感は、説得術の基本です。
失敗してしまったとき、不安で押しつぶされそうになることがあります。
そんな時、自分と同じような立場の人がいれば、少しは安心できるのではないでしょうか。
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