脱サラしてフリーランス(個人事業主)になるためのリスクマネジメント
月曜の通勤時間は、サラリーマンの不幸度がマックスになるそうですね。
とはいっても「脱サラしたい!」って思いをいざ実行するとなれば躊躇してしまう人は多いと思います。
脱サラしてフリーランスになるときの不安を自身の経験で語る方もいます。
サラリーマン辞めて自由なフリーランスに!と息巻く人に刺しておきたい7つのクギ
たしかに脱サラするリスクはありますが、あまり怖がる必要もないんじゃないかと思っています。
結局は、そのリスクをどうコントロールして付き合っていくかです。
どのリスクをとって、どのリスクを分散して、どのリスクを回避するか。
今回は、脱サラして独立するときのリスクマネジメント視点で、引用元のブログ記事に書かれている7つのクギを抜けるように補足してみたいと思いますw
① 安定しない収入、貯金が減っていく恐怖
② 将来の生活・スキルの不安
③ 年金・健康保険は全部自分で
④ 確定申告などの会計、交渉事など全部自分で
⑤ 休んでも誰も稼いでくれない、手当ももらえない
⑥ 動かないと誰も助けてくれない、誰も教えてくれない
⑦ 人との交流は積極的にいかないと断たれ、孤独に苛まれるかもしれない
フリーランス最大のリスクをコントロールする
そのリスクを負ってでも独立したいですか?
多くの人が考えるフリーランスの最大のリスクって「食っていけない」ってことじゃないでしょうか。
逆に言えば、このリスクをコントロールできれば、フリーランスになる障害は大きく取り除けます。
このリスクを「コスト」と「収入」の面から、考えてみます。
まずコストです。
日常生活の固定費を最小限に抑えたほうがいいです。
固定費を安くできるとフリーランス初期の低収入時にとても楽になります。
代表的なところだと、家賃や水道光熱費、ネット回線費、携帯料金、WEBサービス料金、雑誌の定期購読、生命保険、公共料金などでしょうか。
不要なものはすべて解約、または安い代替サービスに乗り換えます。
自分の場合は、上記のすべてを見直して、固定費を抑えたのでかなり楽になりました。
生活レベルは下がるかもしれませんが固定費を見直すのは必須だと思います。
次に収入です。
実家暮らしであれば、月に5万程度の収入があれば、なんとか生活していけます。
賃貸暮らしでも、月に15万あれば、なんとか生活していけます
実際に自分の場合は、賃貸暮らしで嫁さんが働きに出て月に10万くらいを稼いでくれたので当面はそれでしのぎました。
もちろん子供の保育園送り迎えなどは代わりに行いましたが、自分の仕事に支障がでることはほとんどありませんでした。
このあたりの時間の柔軟さがフリーランスの良さですよね。
単身者であればアルバイトや派遣をやりつつ、月に15万稼げばればいいだけです。
このようにフリーランスになったときの「食っていけない」というリスクは、生きていくための最低限のコストと収入を計算すれば、意外と小さいことがわかります。
将来のリスクをコントロールする
自分はそれでも独立してやっていける、もしくはどうにかなっても後悔はないと胸を張って言えますか?
フリーランスになりたいけど「将来のことが心配」という話はよく聞きます。
これは、記事元に書かれているように自分に価値が無くなると稼げなくなって、将来食っていけなくなるというリスクだと思います。
先ほどは、短期的な「今、食っていけない」リスクについて書きましたが、次は長期的な「将来、食っていけない」リスクについて、「身に付けるスキル」と「代替手段」の観点で書いてみます。
まず、身に付けるスキルについて。
今は転職が当たり前のようになりました。
今後、サービスの短命化が進むのを考えると人材の流動化がますます盛んになり、転職だけではなく、予期せぬ配置転属や失業の可能性が大きくなるのは避けられないと思われます。
会社の経営者もそうやって会社の生き残りをかけていくはずです。
そんな時代に会社の都合でスキル構築するのは、とても大きなリスクだと思います。
いざ転職となったときに、外部では通用しない社内スキルしか持っていないとなれば、その選択肢は限られます。
逆にフリーランスになら、自分の意志で将来重要なスキルを肉付けし、不要なスキルを捨てられます。
このようにサラリーマンだから安定というよりも「どんなスキルを身に付けるか」が将来の安定の大きな要因になる時代では、フリーランスのほうが「将来食えなくなる」リスクはヘッジしやすいです。
次に本業で食べていけなくなった場合に備えての代替手段です。
一番良いのは、資格で食べていける代替手段です。
会計士や薬剤師などの資格取得は難しいですが、例えば介護の資格などであれば短期間に少ないコストで取得することができます。
収入は少ないかもしれませんが食べていくための立派な代替手段です。
このように本業以外で食べていくための代替手段があると将来のリスクをヘッジすることができます。
健康保険や年金のリスクをコントロールする
独立するとこれまで会社が負担していた分も払うことになりますが、問題ありませんか?
健康保険や年金の「手続き」と「コスト」について考えてみます。
まず手続きです。
健康保険や年金の手続きは意外と簡単です。
近くの役所に2~3回行って書類を書くだけです。
分からないことは役所の職員さんが教えてくれます。
ちょっとした散歩感覚で行ける感じです。
支払いも銀行引き落としができるので手間なしブライトです。
なので手続きが多くて、業務ができなくなるリスクっていうのは、よっぽどのことがない限りありません。
次にコストです。
健康保険は、フリーランスになったときの選択肢として自分が知る限り4つあります。
・国民健康保険
・サラリーマン時代の健康保険の任意継続
・国民健康保険組合
・家族の扶養に入る
一番メジャーな国民健康保険は、毎月4万円以上請求されてバカみたいに高くなることがあります。
サラリーマンの身分でも、役所に行けば金額を算出してくれるので、一度どのくらいになるのか聞いてみるといいです。
ただこれは前年度の所得に応じて変動するので、経費で所得を減らせれば、次年度から安くなります。
2番目の任意継続もけっこう割高です。大まかにサラリーマン時代の2倍です。自分の場合3万5千円くらいでした。
3番目の国民健康保険組合は、人によっては安くなるみたいです。
WEBデザイナーの人だと「文芸美術国民健康保険組合」というのが15,100円(家族人数分+7,300円)で、未婚の人なら安くなると思います。
けど、加入する条件が「組合加盟の各団体の会員」という制限があります。
この団体会員になるには、現会員の推薦とやらが必要でけっこうハードルが高いです。
しかも、団体の年会費も払わなくてはいけないので何だかんだで高額になります。
4番目の「家族の扶養に入る」ですが、これは最強です。
扶養に入れば、健康保険だけではなく年金まで実質負担無しです。
自分は、最初フリーになった時これを選択したのですが、月額6万円弱が0円になりました。
フリーランスになって一番厳しい初年度にこの差は果てしなく大きいです。
扶養に入れるのは、例えば嫁さんや親が働いていて、その会社で健康保険を払っている場合です。
「前年の収入が130万超えていたので扶養に入れない・・・」なんてことはりません。
年金や保険の扶養は、未来の見込み収入で決まるので過去の収入は関係ないからです。
ただ自分の場合ですが、嫁さん側の会社の経理担当の判断でダメ(扶養に入れない)と言われました。
理由は、130万がどうとか、旦那が扶養にはるのは前例が無いだとか言っていた気がします。
健康保険組合に直接聞いてみましたが、その会社の判断に従ってくださいとのことでした。
そんな時は泣き落としです。
「失業してどうにもならねーっす!」って訴えれば、経理の人も折れてくれます。
嫁さんの扶養ってちょっと情けない話ですが、ヘタなプライドを出して強がっても食っていけませんので下手にいきましょう。
あと失業保険をもらうと見込み収入が130万を超えるのでその期間は扶養に入れませんのでご注意を。
その辺りの手続きが経理の人的に面倒っぽいことを言っていたいので、ダメって言われたのかもしれません。
詳しくは下記をご覧ください。
http://koyou.tsukau.jp/article/fuyou.html
年金は「国民年金」だけだと、将来もらえる年金が厚生年金に比べて激減します。
ただ、「国民年金基金」に加入すれば話は別で、それなりの年金をもらえるようです。
「国民年金」+「国民年金基金」なので掛け金は高くなりますが、その分の控除額を増やせるので節税にもなるようです。
この辺はきたみりゅうじ氏の著書で詳しく書かれています。
【送料無料】フリーランスを代表して申告と節税について教わってきました。 [ きたみりゅうじ ] |
このような上手なやり方を知っていれば、健康保険や年金の高額な請求で食っていけなくなるというリスクは回避できます。
確定申告のリスクをコントロールする
人によっては、サラリーマン時代よりも自分の仕事に集中できなくなるかもしれません。それでも構いませんか?
確定申告は面倒くさいって話をネット界隈でよく見ますが、「青色申告」などのソフトを使えば簡単です。
領収書やレシートの金額をパソコンで打ち込むだけOKです。
1年分をまとめてやっても2日くらいでできます。
もちろん会計知識は不要です。
面倒くさいっていうよりも「あのパソコン買ったレシートで2万も節税できた!」「喫茶店のレシートで300円節税ナウ!」っていうのがけっこう快感です。
(自分が特殊なのかもしれませんが・・・)
あと、経費は「え!これもいいの!?」ってくらい、ほんとうに色々申告することができます。
例えば自宅で作業している人は、家賃やネット回線料、電話代、水道光熱費の何割かを申請することができます。
あくまでも仕事で使っている分だけですが「自宅の何パーセント分を仕事で使った」とか計算できないため、だいたい皆さん5割くらいで申請します。
中には9割申請している人もいます。
これは自宅を事務所として登録しているので高い割合で申請できるみたいです。
ただし、自宅か事務所かで大家側の税金が変わってくるため、大家に話を通さなくてはいけません。
仕事で使用している面積比から事業割合を算出するらしく、図面の提出が必要になるようです。
さらには車のガソリンやその維持費も何割か申請できます。
(車はリースで買うとリース費用も維持費もすべて全額申請できるとか何とか・・・すごすぎる)
細々とした小さな個人商店が生き残っていけるのは、経費に色々と申請して、しっかり節税できているからなんだと勝手に解釈しています。
きたみりゅうじさんの言う「領収書は額面15パーセントの金券」っていうのもうなずけます。
経費になる詳しい品目の一覧は下記を参照ください。
http://kaihooo.com/register/
このように確定申告はリスクどころかメリットいっぱいで結構楽しいです。
個人的にはフリーランスの醍醐味だと思っていますw
経費の裏事情は下記の本が面白かったです。
【送料無料】お坊さんはなぜ領収書を出さないのか [ 大村大次郎 ] |
休むと収入がなくなるリスクをコントロールする
明日倒れたら、あるいは子供ができたら、どうしますか?
「金持ち父さん」的に言うと、自分が休んでも収入を得られるシステムを作るべきです。
自分が働いた分だけ対価をもらえる自転車操業的な働き方は、それ自体がリスクです。
困った時のリスクをコントロールする
人に頼らなくても自分で稼げるスキル、あるいはこれから学んでいく自信がありますか?
フリーランスの場合、困った時に誰も助けてくれないっていうリスクがあります。
サラリーマン時代は、何か問題があれば上司が出てきたり、同僚や後輩にお願いしたり、人海戦術で問題を解決できるかもしれません。
けどそれがフリーランスになったら「誰も助けてくれない」ってのはちょっと違うかなと思ってます。
サラリーマンだろうとフリーランスだろうと「助けたいと思う理由」が重要です。
他の人が「助けてくれる」「助けてくれない」ってのは、サラリーマンであっても問題を抱えている当事者によって、顕著に表れるもんです。
目上の人に可愛がられていたり、人の面倒見がよかったり、日頃の行いが良かったりする人が何か問題を起こせば多くの人が群がって助けてくれます。
なので問題が起こった時のリスクヘッジを考えるなら、日頃から人と交流し、人の役に立っておけばいいだけの話です。
孤独のリスクをコントロールする
それとも、自分から積極的に人に会いに行ったり、あるいは人を集めることができますか?
フリーランスになると業種によっては、人と話す機会は激減すると思います。
とくに自宅で作業するプログラマーやデザイナー、ライターという職種の人達でしょうか。
よっぽど一人が好きって人以外は、参照元の記事に書かれているように「孤独」っていう感情がズッシリとのしかかってきます。
自宅で一人作業していると、稼げているときはいいのですが、なかなか結果の出ないときには「本当にこれでいいのか?」という不安や焦りが大きくなっていきます。
けどこれは、誰かとちょっと会話をしただけでフッと軽くなるもんです。
毎日じゃなくてもいいです。
週に一回くらい、同業の友人と喫茶店でお茶するくらいの気楽な感じでいいです。
友人じゃなくても、嫁さんや親兄弟でもOKです。
外に出て話をする。
それだけで焦りは小さくなって、作業に集中できるようになります。
だからノマドの人たちって喫茶店やコワーキングスペースとやらに集まるんじゃないかと勝手に想像しています。
人によって孤独への対処法は色々あると思いますが、今はSNSもあるし手軽に外部とコミュニケーションできるんじゃないでしょうか。
あと、人見知りの方には密度の濃い交流会や勉強会は抵抗あると思いますが、その他大勢の集まるセミナーや講習会なんかは気軽に行けて気分転換になるので結構オススメです。
最後に
脱サラは、結婚してようが、子持ちだろうが、独身だろうが、意外と食っていけるもんです。
自分で稼いでる感がたまらなく心地いいので同じような感覚の人はハマると思います。
ただ「今すぐ独立する!」ってより、副業でその仕事ができるなら、サラリーマン時代にやっておいたほうがいいです。
まずは稼げる可能性があるかテストしてみる。それだけでリスクはかなり小さくなります。
独立なんてリスクをどうやってヘッジするかのゲームって言う人もいるくらいなので。
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